千葉県公立高等学校事務長会

平成18年度 事務長研修会



平成18年度 事務長会 全体研修会

 
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  平成18年8月22日(火)
  ホテルグリーンタワー千葉4階コンツェルト

講演「事務長に望むこと」

教育NPOちば 寺田信彦副理事長
(前千葉県高等学校長協会会長)

はじめに3つの質問

問1 なぜ事務職員になったのですか。
  ・職業選択は誰しも第一志望だったとは限らないが、選択の動機にはその人なりの「志」があったはずで、その「志」を大切にしてほしい。
問2 今までこの仕事を続けられてきた理由は何ですか。
  ・過去に学んで、現在がある。今を大事にして過去の経験を生かしてほしい。
問3 尊敬できる先輩・上司と同僚はいますか。
  ・目標人物を具体的に持つことによって、学べることが多い。

1 事務長さんの声が聞こえる
(1)なぜ教員は事務室の仕事をわかってくれないの?
  ・学校で行う仕事は公金による、公権力の行使となることを、職員には共通理解してもらおう。
(2)教頭や校長にはいろいろなタイプがいらっしゃいますが・・・。
  ・いろいろなタイプの人間、仕事の仕方もいろいろである。自分の意見をもち、進言しよう。
   行政、お金、法律については、事務長の経験をいかして仕事をしよう。
(3)学校事務は難しいですね(他の部局からいらっしゃった方の声)
  ・他の部局から異動された事務長も学校現場に強くなろう。
(4)電子化等、仕事が多く人手が足りない中での不祥事防止策って?
  ・お互いにカバーしあい、点検しあい、弱点を補い合うこと。小さい集団ほど弱い部分を補完しあいながら仕事をすること。ミスが多くなるときは硬くなってしまっていることが多い。ミス叱責するばかりでなく、前向きに仕事に取り組むことがミスを防ぐ。

2 現代の学校管理運営は「乱気流時代のマネジメント」(P・ドラッカー)
(1)公立高校が置かれている状況は・・・。
  ・経済財政諮問会議では「バウチャー制」の導入検討。学校はいつまでも「官」がやらなくてもよいとの意見もある。千葉県は人口減少が続き、現在は0歳〜13歳が83万人で全体の13.6%。学校の統廃合は避けられない。大学も各大学らしさをだし必死で生き残りをかけている。
(2)兵站、経理を軽視した組織の末路。先立つ物は法と金とはいうものの・・・。
  ・事業の実施にあたっては、管理職は詳細な具体的事項まで配慮しなければならない。人を動かすには法による場合、お金による場合と、その人の心の琴線に触れる場合とがある。第3の場合によって人を動かすには人間力が求められる。
(3)危機管理のノウハウは事が起きてから学んでは遅い。

3 事務長は学校経営者の一員である
(1)その立場にある人はその立場に相応しい能力を持つ義務がある。
  ・民主主義は権力を「委任する側」の論理と「委任される側」の論理で成り立つシステム。「委任される」側に立った時には「志」を実現する具体的方策とその実行能力が求められる。
(2)リーダーは学べ、そして己の仕事にプライドを持て。
(3)力量・徳を高めよ。
(4)参謀・主計長として。

4 学校経営とは、人と組織を動かし、相手に影響力を及ぼし続け、相手の変化を促す行為である

     

  講演「職場におけるメンタルヘルスについて」


                大正大学人間学部人間福祉学科助教授 廣川 進 氏


 私は、18年間教育関係出版社で編集を担当する会社員でしたが、勤務の傍ら大学院で勉強し臨床心理士の資格を取りました。千葉県庁健康相談室のカウンセラーとして精神的理由で休職していた職員の復職支援プログラムに3年前から携わっております。これは他県に例を見ない千葉県だけの支援システムかも知れません。通常7割程度の回復で職場復帰しますが、そこからが大事なところで、職場訪問をし本人の相談にのったり職場の対応の仕方を助言したり、チームで復帰を支援するものです。
 さて本題ですが、今職場では組織離れした自立型人間が増えており、人間関係が希薄化しています。同僚とも距離を置き、生のぶつかり合いを避けようとする傾向です。コミュニケーション不足でさまざまなギャップから対人ストレスが増加し、それが生産性の低下にも繋がっています。
 仕事や職業生活での不安や悩みの内容をアンケート調査すると、男女とも人間関係のストレスが一番でした。そして最大のストレス源は「上司」でした。これは個人のパーソナリティーではなく、上司という存在そのものがストレスであり、上司とは本来そういうものなのですが、皆さんも自分が考える以上に部下にストレスを与えていると考えてください。また、ストレス度チェックができるWebサイトもありますが、管理職として安定した精神状態を保つよう自身のストレスをマネジメントしてみてはいかがでしょうか。
 ストレス因は、環境の変化、家族に問題のある場合、たび重なる小さな緊張等、さまざまです。ストレスが強い人ほど一人で問題を抱えてしまい、相談しない、病院にも行かない傾向です。ストレスは誰もが感じるものですが、抑圧ばかりせず発散解放し、感情コントロールをすることが大切です。ストレスは、消化器や皮膚の疾患、不眠、慢性疲労感、情緒不安定等さまざまな症状として現れます。
 心の病のうち圧倒的に多いのは「うつ病」ですが、うつ病は心の風邪のようなもの、誰でもなる可能性があり、必ず治ります。抗うつ薬を服用し、先ずは休養・栄養と周囲の支援です。うつ病のスクリーニングテストもありますが、職場でのチェックは、遅刻・欠勤がふえる、服装がだらしなくなる、業務の能率が低下する、会話が少なくなる、離席が多い等が、心の不調に気づくポイントです。
 「うつ」の人とどう接するかですが、励まさない、追い込まない、これまで真面目にやってきたことは評価して今はゆっくり休むことが必要と説得、自殺に気をつけ絶えずさりげなく観察する等です。
 その他の心の病気には、気分高揚(そう状態)・自律神経失調症等がありますが、部下の不調に気づいたら直接話を聞き、仕事の質や量、出勤時間等の配慮をし、専門機関や専門スタッフへの橋渡しをします。また、専門家への相談を勧める場合も「病気」という言い方ではなく「ストレス」と言った方が抵抗が少ないようです。メンタルクリニック、心療内科、精神科などに抵抗感がある場合は、とりあえず内科でもいいから医師への受診を勧めてみます。医師の判断で適切な治療を受ける方法を勧めてくれるでしょう。また、そういう部下との対応が上司自身のストレスとならないよう、問題を一人で抱え込まず周囲のサポート体制を整えることが大切です。

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