平成18年度 事務長研修会 |
平成18年8月22日(火) | |
ホテルグリーンタワー千葉4階コンツェルト | |
講演「事務長に望むこと」 |
教育NPOちば 寺田信彦副理事長 はじめに3つの質問 講演「職場におけるメンタルヘルスについて」
私は、18年間教育関係出版社で編集を担当する会社員でしたが、勤務の傍ら大学院で勉強し臨床心理士の資格を取りました。千葉県庁健康相談室のカウンセラーとして精神的理由で休職していた職員の復職支援プログラムに3年前から携わっております。これは他県に例を見ない千葉県だけの支援システムかも知れません。通常7割程度の回復で職場復帰しますが、そこからが大事なところで、職場訪問をし本人の相談にのったり職場の対応の仕方を助言したり、チームで復帰を支援するものです。 さて本題ですが、今職場では組織離れした自立型人間が増えており、人間関係が希薄化しています。同僚とも距離を置き、生のぶつかり合いを避けようとする傾向です。コミュニケーション不足でさまざまなギャップから対人ストレスが増加し、それが生産性の低下にも繋がっています。 仕事や職業生活での不安や悩みの内容をアンケート調査すると、男女とも人間関係のストレスが一番でした。そして最大のストレス源は「上司」でした。これは個人のパーソナリティーではなく、上司という存在そのものがストレスであり、上司とは本来そういうものなのですが、皆さんも自分が考える以上に部下にストレスを与えていると考えてください。また、ストレス度チェックができるWebサイトもありますが、管理職として安定した精神状態を保つよう自身のストレスをマネジメントしてみてはいかがでしょうか。 ストレス因は、環境の変化、家族に問題のある場合、たび重なる小さな緊張等、さまざまです。ストレスが強い人ほど一人で問題を抱えてしまい、相談しない、病院にも行かない傾向です。ストレスは誰もが感じるものですが、抑圧ばかりせず発散解放し、感情コントロールをすることが大切です。ストレスは、消化器や皮膚の疾患、不眠、慢性疲労感、情緒不安定等さまざまな症状として現れます。 心の病のうち圧倒的に多いのは「うつ病」ですが、うつ病は心の風邪のようなもの、誰でもなる可能性があり、必ず治ります。抗うつ薬を服用し、先ずは休養・栄養と周囲の支援です。うつ病のスクリーニングテストもありますが、職場でのチェックは、遅刻・欠勤がふえる、服装がだらしなくなる、業務の能率が低下する、会話が少なくなる、離席が多い等が、心の不調に気づくポイントです。 「うつ」の人とどう接するかですが、励まさない、追い込まない、これまで真面目にやってきたことは評価して今はゆっくり休むことが必要と説得、自殺に気をつけ絶えずさりげなく観察する等です。 その他の心の病気には、気分高揚(そう状態)・自律神経失調症等がありますが、部下の不調に気づいたら直接話を聞き、仕事の質や量、出勤時間等の配慮をし、専門機関や専門スタッフへの橋渡しをします。また、専門家への相談を勧める場合も「病気」という言い方ではなく「ストレス」と言った方が抵抗が少ないようです。メンタルクリニック、心療内科、精神科などに抵抗感がある場合は、とりあえず内科でもいいから医師への受診を勧めてみます。医師の判断で適切な治療を受ける方法を勧めてくれるでしょう。また、そういう部下との対応が上司自身のストレスとならないよう、問題を一人で抱え込まず周囲のサポート体制を整えることが大切です。 |